TEAM STORY

03

想いを受け継ぎ、
建物と街の
さらなる進化へと

2025年夏、大手町プレイスは誕生から7年目を迎えた。2万人もの就業者を収容し、年間でのべ360万人もの人々が行き交う大規模複合施設。今なお大規模建設が続くこの大手町においても、ひときわ強い存在感を放ち続けている。NTTアーバンバリューサポートでは、当ビル開業の年からPM担当に新卒社員を配属、その後もほぼ毎年新卒社員を配属し、今年で6人目となった。人・街・時をつなげてきた大手町プレイスで、PM担当としての役割とスキル、想いと誇りを受け継ぎ、つなぐ2人を紹介する。

※本文中の組織名称・時点・所属は、
取材当時のまま表記しています

PMとして、
ワーカーとして

古性 夏歩

2023年入社
社会情報学部 卒業

学生時代、最終面接を直前に控え、古性夏歩は初めて大手町プレイスを訪れた。採用サイトで「TEAM STORY」というページを見て、ずっと気になっていたからだ。
「もちろんここがNTTアーバンバリューサポートの管理物件だということは知っていました。2万人もの人々が働く建物を見てみたいとの好奇心もありました。でもそれ以上に、記事から都倉さんという新卒一期生がこのビルにすごく愛情を注いでいるのがわかり、その理由を知りたくなったんです」。
そのときは建物のスケール感に圧倒されるばかりだったが、ひとつ、気づいたことがあった。「UVSに入社してここのPM担当になったとしたら、私自身もこのビルのワーカーの一人になるんだ!」。もともと街づくりに関心があって、就職活動当初はデベロッパー中心に企業を見ていたものの、建物や空間を開発するよりも長い時間をかけてそれらを守り育てる管理業界に強く惹かれた。とりわけ興味がわいたのがオフィスPMの仕事だ。ビルの安全性や快適性をたえず追求し続けることで多くのワーカーを引き付け、街に賑わいをもたらす。都倉のようにそこに常駐することで、在館ワーカーの一人としての目線でビルの進化に取り組むこともできる、やりがいの大きな仕事だと思えた。入社意思が高まった。

それでも最後は、採用担当や社員の印象で入社を決めた。「温かくておおらか。ありのままの自分を受け入れてくれそうに感じた」からだという。まずは求められる場所で全力を尽くそう、そんな決意で古性のUVS生活がスタートした。
入社後は研修などでオフィス以外のアセットについて学ぶ機会もあったが、古性のオフィスPM志望の意思は変わらなかった。配属先が発表され、念願の大手町プレイスに決まった。正直驚いたが、すぐに喜びへと変わる。勤務の日が待ち遠しかった。

高い視座をもって臨む

古性が初めて見る大手町プレイスの管理事務所は想像していたよりも広く、「管理事務所」というより「普通のオフィス」の印象。所員は20名以上、記事で読んだ通りベテラン社員も多かった。その中にSEASONⅡで登場する栗本と森野の姿もあった。
所内は対応先ごとに「管理組合」「オフィステナント」「商業テナント」「協力会社」の4チームに分かれており、1年目の古性は「管理組合」と「協力会社」の担当となった。最初の1ヶ月は他部署への異動が決まっている社員から引き継ぎを受けながら、清掃や警備、設備などを委託している協力会社の管理業務を習得。その後はトレーナーでもある2年上の栗本に付いて管理組合の運営業務を学んでいった。大手町プレイスではオーナーである区分所有者8社が「管理組合」としてさまざまな意思決定を行う。その会議体を事務局としてサポートするのが「管理組合」チームの役割であり、各社にそれぞれ担当が付いて会議前後の準備や調整などにも当たる。
「当初、私は担当企業はもっていませんでしたが、会議には毎回参加してさまざまな事務作業を務めました。議事に関する説明役を任されることもあります。区分所有者8社は誰もが知る企業様ばかりで、互いに意見がぶつかったり、私たち事務局に対して厳しいお言葉を頂戴することもある。とにかく緊張の連続でした」。
古性は配属当初に、当時の所長から「常に高い視座をもつことを意識してPM業務に臨んでほしい」と言われた。
「だから1年目から管理組合の業務を担当してもらう。調整力や提案力などが必要とされる、とても難しい仕事だけれど、ここでしか経験できないものだよ」と。「当時はピンときませんでしたが、今ならその意味がよくわかります。大手町プレイスのPMを務めるには、区分所有者それぞれの考えを理解することがとても重要なんです。一年間オーナー側の意見を、生の声で聞き続けられたことで、得られた知識や経験に対して自信もつきましたし、その後が大変業務を進めやすくなりました。配属当初から思い切り背伸びさせてもらえたことに、感謝しかありません」。
2年目を迎え、古性は「オフィステナント」チームに移った。そこには1年先輩の森野がいて、イーストタワーの区分所有者を一緒に担当しながら、そこに入居するテナントへの対応をチーム内で分担した。いよいよオフィスPMとしての本格デビューだ。
「テナント様から直接私宛に電話がかかってくるのが、すごく嬉しかったです。内容は問い合わせだったりご要望だったり。日々さまざまな対応を行う中で、PMとしての自覚や責任感も育まれていった気がします」。

上司や先輩からは、つねに仕事の全体像をとらえたうえで判断することを教わった。
「最初は、テナント様のご要望をすべて叶えることが仕事だと思っていたのですが、そうではなかったんです。ご要望を叶えようとすることでどこにどんな影響があるのか、テナント様とのご契約の範囲なのか、区分所有者の意向に沿うものかなどを考え、そのうえでの判断が必要だと教えていただきました。失敗と学びの繰り返しでした」。
 試行錯誤をしながらも懸命に取り組んでオフィスPMの経験を積み、テナントの新規入居を任されるまでになった。そんなとき、管理事務所では業務の効率化を図る大きな組織変更が行われる。これまで別々だった「オフィステナント」と「商業テナント」のチームが合体し、古性はオフィスPMと商業PMを兼務することになったのだ。配属当初に「管理組合」と「協力会社」を経験、その後「オフィスPM」、そして今度は「商業PM」、これで管理事務所のほぼすべての業務を経験できる。これまでの先輩社員もここまで幅広くは経験できなかったのではないか。3年目の転機も前向きに受け止めた。
 現在は従来のオフィスPM業務を継続しながら、新たに商業テナントを数店舗担当している。さらにはホール&カンファレンスの運営やエリアマネジメント業務のリーダーも任されている。
「オフィステナント様とはメールや電話でのやり取りが多いのですが、商業のテナント様だと店長さんたちと毎日のように顔を合わせてお話しします。オフィスPMと商業PMとで、テナント様とのコミュニケーション方法が全く違うのが、面白いですね。ご契約方法もオフィスの場合と違うルールもあって、目下猛勉強中です」。

 古性はPMの業務を「テナントとオーナーをつなぐ役割」でもあると思っている。テナントの要望を区分所有者に伝え、管理運営の全体像に照らしたうえでその実現に動く。一方で、オーナーが決めたビルの運営方針をテナント側に理解してもらい最適な管理をする。それらの業務をスムーズに進めるために、1年目の苦労が今活きているのだと。
テナントだけでなく仕事での関係者も一気に増えた。6月から新たに新入社員が2名大手町プレイスに配属され、古性はそのうちの一人にトレーナーとして関わっている。またエリアマネジメントチームのリーダーとして、その2人を引っ張っていく立場でもある。かつては逆の立場だった自分が懐かしい。内心では「余裕のなさを感じてしまうことも多々あり、ちょっと焦っている」状況だと言うが、栗本や森野がそうだったようにいつも明るく冷静でありたい。入社のきっかけにもなった都倉の記事のように、今、自分も大手町プレイスに愛情を注いでいられることが嬉しい。ここでの経験は、今後に控える大規模施設の運営にも必ず活きるはずだ。これからだ。

次へのバトンを
思い描いて

澤 萌奈美

2025年入社
社会学部 卒業

自身を”興味のないことは全くやらない性格”と分析する澤萌奈美は、不動産業界をめざした。「地方出身だからか、大きな建物を見るとワクワクしてしまうんです。ついでに言えば、新しいものより年季の入ったものがもっと好き。だから、今あるものを大切に、より良くする管理業界の仕事を知って、これしかないと思いました」。UVSの面接では全然うまく話せなかったが、気を落とす自分に「何か言えなかったことがあれば、私から面接官に伝えますよ」と採用担当者が声をかけてくれ、その温かさに胸が熱くなった。
そして入社。大きな建物ならオフィスビルでも商業施設でも構わないと思っていたら、配属されたのは両方を兼ね備える「複合ビル」というものだった。就職活動中に一度「大手町」を訪れたことがある。街そのものがかっこよくて、その中でも、このビルがひときわ目立っていたのを鮮明に覚えている。思い切りワクワクした。そして今、そこが澤の仕事場だ。
 古性の1年目のときと同じように、澤は「管理組合」と「協力会社」の担当となった。課長代理と2人の先輩社員、そして澤の4人チーム。先輩社員2人はともにベテランだが他の担当業務から移ってきたばかり。最初の2ヶ月間は、課長代理の指導のもと3人で一緒に業務を行い、8月からはチーム内で担当を分けることとなり、澤は協力会社を複数社担当することになった。管理組合の会議には全員で参加し、任される業務が少しずつ増えてきたところだ。チームの家族的な温かさがいつも緊張をほぐしてくれる。トレーナーは古性。彼女もまた新人時代をこのチームで過ごしてきたことを知り、ついなんでも相談してしまう。
「古性さんは私と2年しか違わないのに、会議の場でもオーナー様やテナント様に対して堂々と話をされています。みなさん、口をそろえて『さすが古性さん』と言われます。それでいていつもニコニコ優しく教えてくれるので、古性さんのような存在になるのが今の私の目標です」。
 管理事務所にはNTT都市開発から出向の同期がもう一人配属されていた。古性を含む若手メンバーの3人でランチをすることは多いが、一緒に仕事をするのはエリアマネジメントの業務だけ。5年上の小澤が初代リーダーとなり3年前に発足した、若手社員だけの特別チームだ。栗本、森野とリーダーの役目を引継ぎ、6月から古性がその役目を引き継いで、新入社員2人を束ねる。夏場は雑誌にも掲載されたことのある、35階屋上でフィットネスを行えると評判のイベント「天空フィットネス」を毎週のように行い、7月には今年2回目の「全国物産展」を開催した。全国物産展イベントは、1ヶ月だけともに過ごした3年上の森野から直接引き継ぎを受け、そのまま澤が担当になったもの。イベント会社に委託せず、すべて自分たちで企画も運営も行っている。
「過去3年間のデータを見ながら、今ちょうど来年度の計画を立てているところです。ゼロから立ち上げた先輩たちの努力を痛いほど感じます。ここに私たちならではの取り組みをつなげていきたい。いつまでも古性さんに頼ってばかりじゃダメなので、新入社員2人でいつも『早く成長するぞ』って激を入れ合っています(笑)」。

この夏最後の天空フィットネスを終え、澤は屋上から大好きな大手町を見下ろしながら考えていた。この街においても存在感を放つ「大手町プレイス」は、やはり手強い。区分所有者の数も多いが、委託先である協力会社の数も多い。澤が担当する協力会社は10社を超える。清掃会社だけで5社。エスカレーターもウエストタワーとイーストタワーで委託先が異なる。それぞれに契約やルールがあり、困惑することもある。所長から、「頭にフォルダをつくる」ことを教わった。覚えるべきことは多いが、都度、脳内で整理していくことが重要なのだ。ちょっとしたコツを教えていただくことで、ぐっと気持ちが楽になる。所長はまた、ワークライフバランスにもとても配慮してくれている。ON/OFFを意識すること、成長は長期戦、人生をより豊かにするためにプライベートの時間も大切にするように言われている。
そう遠くない時期に古性から「オフィス」「商業」チームの担当を引き継ぐことになるだろう。この管理事務所は全体がワンチームだ。巣立っていった人たちとの絆も強く、みなが支え合い、助け合いながら、7年にわたってこの建物を進化させてきた。その想いをつなぎ、自身の手で次の誰かにバトンを渡す日を、美しい夜景の向こうに思い描いた。

【OTEMACHI BIG HAND FES】

大手町プレイスの賑わい創出活動の一環として「OTEMACHI BIG HAND FES」を2024年10月に1ヶ月間開催。「大手町」を「大(BIG)・手(HAND)・街」と分解するという、言葉遊びを交えたユニークな発想でイベントを企画し、指圧マッサージや手書き似顔絵体験など「手」にまつわる体験コンテンツを実施。いつもと違うお昼時間を街の皆様に提供した。こうしたイベントは、大手町プレイス配属の歴代若手社員が中心となって主体的に取り組み、委託先会社選定から区分所有者への提案、当日運営までを一貫して行っている。

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